MT5 EA制作を依頼する前に決めておくべき仕様|依頼時に必要な情報を解説
MT5のEA制作を依頼したいものの、「何を決めておけばいいのか」「制作側へ何を伝えればいいのか分からない」という方は少なくありません。

普段やっているトレードをEAにしたいんですが、売買ルールを全部まとめてから相談した方がいいですか?

いえいえ、すべて完成している必要はありません。ただ、決まっている内容と、まだ曖昧な内容を分けておくと制作内容を確認しやすくなりますね。
EAは、決められた条件に従ってエントリーや決済を行うプログラムです。
そのため制作を依頼する際は、エントリー条件や決済条件だけでなく、ロット、ポジション数、取引時間など、EAをどのように動かしたいのかを確認します。
この記事では、MT5 EA制作を依頼する前に決めておきたい仕様と、制作側へ伝えておくとよい情報を解説します。
- EA制作を依頼する前に確認しておきたい仕様
- 制作側へ伝えておくとよい情報
- 売買ルールを説明するときのポイント
- EA制作の依頼前に確認できるチェック項目
MT5 EA制作を依頼する前に決めておきたい仕様
MT5 EAを制作する際は、主に次の内容を確認します。
- 買い・売りのエントリー条件
- 決済条件
- 損切り・利益確定
- ロットの決め方
- 最大ポジション数
- 追加エントリーの有無
- 取引時間・曜日
- スプレッド制限
- 利用者が変更できるパラメータ
- 使用するインジケーター
- アラートや外部通知などの追加機能
すべてを細かく決めてから問い合わせる必要はありません。
ただし、「ここは決まっている」「この部分はまだ分からない」と整理しておくと、制作内容の確認や見積もりを進めやすくなります。
エントリー条件と決済条件を整理する
EA制作で最初に確認するのが、売買条件です。
例えば、「移動平均線を使って上昇トレンドで買うEAを作りたい」という説明だけでは、EAがどのタイミングでエントリーすればよいのか決まりません。
移動平均線の期間、使用する時間足、価格との位置関係、クロスを見るのかなど、EAが判定できる条件へ整理します。
例えば、次のような条件です。
- 20期間移動平均線が50期間移動平均線より上
- 確定足の終値が20期間移動平均線より上
- RSIが50以上
- すべての条件が成立した次の足で買いエントリー
このように条件を整理すると、EAは各条件を確認してエントリーを判断できます。
複数の条件を使う場合は、「すべて成立した場合」なのか、「どれか1つが成立すればよい」のかも確認します。
また、現在形成中のローソク足で判定するのか、確定したローソク足で判定するのかによってもEAの動作は変わります。
移動平均線のクロスでは、現在足で一時的にクロスしても、ローソク足が確定するまでに元の位置へ戻ることがあります。
決済条件についても、「利益が出たら決済」ではなく、固定pips、反対シグナル、指定時刻など、ポジションを閉じる条件を確認します。
買いポジションを保有中に売り条件が成立した場合も、「買いを決済するだけ」「決済後に売りエントリーする」「買いを残したまま売る」では動作が異なります。
どのような条件ならプログラムで判定できるのかは、EA化できるロジックとできないロジックの違い|自動売買にできる条件を解説でも詳しく紹介しています。

上記のチャートはどちらも同じ箇所ですが、左は移動平均線とRSIを条件に指定していることでエントリーロジックが明確です。右のように漠然と「上昇トレンドで買う」というロジックだと、どこで入ればいいかが自動化できません。
ロットとポジション管理を決める
次に、1回の取引で使用するロットとポジション管理を確認します。
ロットは、毎回同じ値で取引する固定ロットだけではありません。
口座残高に応じてロットを変更したり、損切り時の損失額が口座資金の一定割合になるようにロットを計算したりすることもできます。
残高の増減に応じてロットを変更する複利運用も、ロット管理方法の1つです。
同時に保有できるポジション数も確認します。
ポジション保有中にエントリー条件が再び成立した場合、追加エントリーするのか、最初のポジションを決済するまで新規エントリーを行わないのかを決めます。
ナンピンやピラミッディングを行う場合は、追加する間隔、最大回数、追加時のロットについても確認が必要です。
取引時間や曜日の制限を決める
特定の時間帯や曜日だけで稼働するEAを作りたい場合、取引可能な時間を指定する機能を実装する必要があります。
- 日本時間9時から17時だけ新規エントリーする
- 月曜日から木曜日だけ取引する
- 金曜日の指定時刻以降は新規エントリーしない
- 指定時刻に保有ポジションを決済する
ここで注意したいのが、基準にする時間です。
日本時間を基準にするのか、MT5のサーバー時間を基準にするのかによって実装内容が変わる場合があります。
スプレッド制限が必要か決める
スプレッドが広がっているときに新規エントリーを行いたくない場合は、スプレッド制限を追加できます。
例えば、「現在のスプレッドが30ポイント以下の場合だけ新規エントリーする」といった条件です。
制限値を超えている間だけエントリーを見送るのか、一定時間取引を停止するのかなど、希望する動作があれば制作時に伝えます。
利用者が変更できるパラメータを決める
ロット、損切り幅、利益確定幅、インジケーターの期間などは、MT5のEA設定画面から変更できるパラメータとして用意できます。
一方、利用者に変更されたくない条件はEA内部へ固定することもできます。
例えば、自分だけで使用するEAであれば、多くの項目を変更可能にしておき、バックテストを行いながら設定値を変更する使い方があります。
販売・配布するEAでは、売買ロジックに関係する条件を内部へ固定し、ロットや通知設定など必要な項目だけ変更可能にする方法もあります。
「利用者に何を変更させたいのか」も、EA制作時に確認しておきたい仕様の1つです。

利用者が変更する項目は、EAのパラメータとして用意できます。
既存インジケーターを使う場合はファイルを用意する
既存のインジケーターを使ってEAを制作したい場合は、使用するインジケーターファイルをご用意ください。
例えば、「現在使っているサインツールで矢印が出たら自動でエントリーしたい」という依頼です。
チャート上に矢印が表示されていても、EAからそのサインを取得できるとは限りません。
インジケーターの仕様、出力されているデータ、ソースコードの有無などを確認する必要があります。
EX5ファイルしか手元にない場合については、EX5ファイルしかないEAは改造できる?ソースコードとの違いで詳しく解説しています。
通知など追加したい機能があれば伝える
売買機能以外に追加したい機能がある場合も、制作相談時に伝えてください。
- エントリー時にアラートを表示する
- スマートフォンへプッシュ通知を送る
- Discordへエントリー情報を通知する
- チャート上に現在の状態を表示する
最初の相談時点で細かな表示方法まで決まっていなくても、「エントリーしたらDiscordへ通知したい」といった希望が分かれば、必要な機能を確認できます。
売買ルールを文章で説明できない場合はチャート画像を用意する
普段行っているトレードのルールを文章だけで説明するのが難しい場合は、チャート画像を用意する方法があります。
エントリー位置に丸や矢印を付け、「ここで買い」「ここではエントリーしない」と書くだけでも、判断条件を確認する材料になります。
特に確認しやすいのが、エントリーしたい場面と、形が似ているのにエントリーしたくない場面の2つです。
例えば、どちらも移動平均線付近まで価格が戻っているのに、一方では買い、もう一方では見送るとします。
2つの違いを確認すると、「長期移動平均線の向きも見ていた」「直近高値までの距離を確認していた」など、売買時に確認している条件が見つかることがあります。

エントリーする場面と、似ているのにエントリーしない場面があると、売買条件を確認しやすくなります。
「いい感じ」「角度が急」などの表現は具体的な条件を確認する
EA制作の相談では、人がチャートを見れば意味を理解できても、そのままではプログラムの条件にできない表現があります。
- いい感じのトレンドライン
- 勢いが強くなったら
- 移動平均線の角度が急になったら
- きれいに反発したら
- 最高値や最安値でエントリーする
こうした表現が含まれているからといって、EA化できないとは限りません。
制作時には、何を見て「勢いが強い」「角度が急」「きれいに反発した」と判断しているのかを確認します。
例えば「移動平均線の角度が急」という条件であれば、「3本前の移動平均線より現在の値が20ポイント以上高い」など、一定期間の値の変化として判定できる場合があります。
「最高値で売る」という条件も、「過去100本の最高値」や「当日の最高値」であれば判定できます。
一方、未来の値動きを含めて後から確定する最終的な最高値を、リアルタイムで動作しているEAが事前に知ることはできません。
問い合わせ前にAIで売買ルールを整理する方法
自分の売買ルールに曖昧な部分があるか分からない場合は、ChatGPTやClaudeなどのAIへ内容を伝え、整理する方法もあります。
AIにEAのコードを書かせるのではなく、まだ決めていない条件や、自分でも説明できていない部分を確認するための下準備として使います。
EA制作の相談前に使えるAIプロンプト
以下の文章をコピーし、最後の「私の売買ルール」に普段行っているトレード方法を書いてAIへ送ってください。
私は普段行っているトレードをMT5のEAにしたいと考えています。
以下の売買ルールを確認し、EA制作会社へ相談する前の下準備を手伝ってください。
EAのコードは書かないでください。また、私が書いていない売買条件を勝手に追加しないでください。
次の順番で確認してください。
- 売買ルールを買い条件・売り条件・決済条件に分けて整理してください。
- プログラムではそのまま判定できない曖昧な表現を指摘してください。
- EA化するために数値やルールを決める必要がある部分を質問してください。
- 分からない部分を推測して補完せず、「未確定」としてください。
- 最後に、EA制作会社へ伝える内容を箇条書きで整理してください。
【私の売買ルール】
ここに普段行っているトレード方法を書きます。
AIから質問された内容には、分かる範囲で回答してください。
回答できない項目があっても問題ありません。「この部分はまだルールが決まっていない」と分かれば、制作相談時に確認できます。
MT5 EA制作の依頼前チェックリスト
制作相談前に、現在分かっている内容を次のチェックリストで確認してみてください。
- 買いエントリー条件
- 売りエントリー条件
- 現在足と確定足のどちらで判定するか
- 決済条件
- 損切り・利益確定
- ロットの決め方
- 最大ポジション数
- 追加エントリーの有無
- 取引時間・曜日
- スプレッド制限
- 利用者が変更できるパラメータ
- 使用するインジケーター
- 追加したい通知・表示機能
分からない項目は空欄でも問題ありません。
仕様を完全に決めることより、決まっている部分と、まだ曖昧な部分を分けることが重要です。
仕様が完全に決まっていなくてもMT5 EA制作の相談は可能
シストレファクトリーでは、すべての仕様が完成していない状態でもMT5 EA制作の相談が可能です。
例えば、「エントリー条件は決まっているが決済条件がまだ曖昧」「使用しているサインツールからEAがサインを取得できるか分からない」「ロットや時間制限をどのように指定すればよいか分からない」といった状態でも内容を確認できます。
「このインジケーターのサインで自動売買したい」「現在手動で行っているトレードをEA化したい」といった段階でもご相談ください。
ただし、制作側が依頼者の売買ロジックを勝手に決めることはできません。
文章で説明するのが難しい場合はチャート画像を用意し、現在分かっている内容と、まだ決まっていない内容を分けておくと確認しやすくなります。
制作を依頼してから納品されるまでの進め方については、MT5 EA制作の流れ|相談から納品までを解説で紹介しています。
依頼時の認識違いを避けたい方は、MT5 EAの制作依頼でよくある失敗7選もあわせてご確認ください。

全部決めてから相談する必要はありません。「ここまでは決まっているけれど、この部分はどう条件にすればいいか分からない」という状態でも大丈夫です。
まとめ
MT5 EA制作を依頼する前は、エントリー条件や決済条件だけでなく、ロット、ポジション数、取引時間、スプレッド制限、変更可能なパラメータなどを確認します。
すべての仕様を完成させてから相談する必要はありません。
まずは、現在決まっている内容と、まだ曖昧な内容を分けてみてください。
売買ルールを文章で説明するのが難しい場合は、エントリーしたい場所を示したチャート画像やAIを使って内容を整理する方法もあります。
現在分かっている範囲を整理しておくことで、EA制作の相談時に希望する動作を確認しやすくなります。